
『適当にやっておいて』と言われるのが一番困る…
普通に働いて生きているだけなのに、毎日ぐったり疲れてしまう
5年前、私は医師からASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けました。
当時はショックもありましたが、5年経った今振り返ると、自分の生きづらさや過去の職場での大失敗にはすべて「明確な理由」があったのだと納得しています。
今回は、ASDと診断されて5年の私が実感する「5つのリアルな特性・体験談」と、それらの生きづらさをどう克服・回避してきたかという「現実的な生存戦略」を包み隠さずお話しします。
1. 曖昧な指示や空気を読むのが苦手(適当がわからない)
ASDの大きな特徴の一つが、「空気を読む」「行間を読む」「曖昧な言葉をニュアンスで受け取る」ことへの強い苦手意識です。
言葉通りストレートに受け取ってしまうため、職場では大きな摩擦を生むことがあります。
💬 私の実体験:ルールブックを突きつけて「やばい人認定」
営業時代、上司から「今日のMTG、いい感じに適当に進行しておいて」と言われた時のことです。
私には「いい感じ」「適当」の塩梅が全く分かりませんでした。さらに社内規定(ルールブック)を確認すると、その会議の進行は「上司の役職が担当する」と明文化されていたのです。
私は正義感とルールの正しさに従い、参加者全員がいる会議の場で、ルールブックを手に上司へ言いました。
「これ、あなたの仕事ですよね? なぜ私がやるんですか?」
本音をストレートにぶつけた結果、一瞬で場の空気は凍りつき、見事に職場内で「やばい人・空気が読めない人」として浮いてしまいました。
💡 この特性の生き残り策
曖昧な人間関係や空気を読む仕事(営業や折衝)からは距離を置き、「ルールや構造が明確な世界」に軸足を移すことです。
私は現在、曖昧さの一切ないプログラミング(Python/GASなど)やAIへの指示出し、IT知識を武器にする方向にシフトしました。コードやAIは「曖昧な空気」を求めず、ロジカルな指示に正しく答えてくれるため、ストレスが激減しました。
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2. こだわりの強さ・「過集中」と「猛烈な燃え尽き」
興味のあることや一度気になったことに対して、寝食を忘れて没頭してしまう「過集中」もASDの特徴です。
作業が思い通りの挙動になるまでやめられず、やり切った達成感はすごいものの、その後に激しい反動がやってきます。
💬 私の実体験:思った挙動になるまで席を立てない
PythonやGASでコードを書いている時、思った通りの挙動にならないと猛烈に気持ち悪くなり、席を離れることすらできなくなります。
永遠に画面に向かって没頭し、意図通りに動いた瞬間は最高の快感を得られるのですが、終わった瞬間にどっと疲労が押し寄せ、その後数日間は反動で何もできなくなることが多々ありました。
💡 この特性の生き残り策
過集中によるエネルギーの枯渇は、ミッドライフ・クライシス(中年の危機)や燃え尽き症候群の最大の原因になります。
「ずっと100%の力で走り続けることはできない」と割り切り、限界が来た時は正社員の看板に固執せず、生活コストを下げて「Bプラン(ダウンサイジング)」へ移行するセーフティネットを作っておくことが命を守る鍵になります。
3. マルチタスク・音コミュニケーション(電話)の苦手意識
視覚情報に比べて「聴覚情報(耳から入る情報)」の処理が苦手な人が多く、電話対応や会話しながらのメモ作成でパニックを起こしがちです。
💬 私の実体験:電話が苦手・メモの字が汚すぎて読めない
電話がかかってくるのがとてつもなく苦手です。
電話で話しながら指示を受けると、内容のほとんどを聞き漏らしてしまいます。焦ってメモを取っても、後から見返すと自分の字が汚すぎて何が書いてあるか読めません。
「指示はすべてチャット(テキスト)でほしい…」と心から思いながら働いていました。
💡 この特性の生き残り策
自分の手動でマルチタスクや細かな裏方作業をやろうとすると、不注意やミスを連発して自滅します。
だからこそ、自分の脳のメモリを使わずに「AIや自動化ツール」に裏方作業を丸投げする仕組みを作ることが必須です。
4. 感覚過敏と「過適応」による日々の激しい疲弊
視覚、聴覚、触覚などの感覚が過敏で、刺激の多い環境にいるだけでエネルギーを削られてしまいます。
また、周囲の「普通」に無理に合わせようとする(過適応)ため、生きているだけで人一倍疲れてしまいます。
💬 私の実体験:耳栓・イヤーマフ・睡眠薬がないと生きていけない
とにかく「人酔い」がひどく、周囲に人がいる空間では緊張して眠ることができません。昔、社員旅行があった際は、部屋の周りの気配が気になり、私一人だけ一晩中起きていたほどです。
現在は日常的に「耳栓」や「イヤーマフ」が手放せず、夜は睡眠薬を飲んでなんとか睡眠を確保しています。
毎日、普通に会社に行って帰ってくるだけで全身ぐったりです。薬と環境調整でギリギリのラインを保ちながら働いています。
🔗 関連記事: 【体験談】職場の音や雑音で限界…「耳栓・端の席・チャット化」の合理的配慮を角を立てずに勝ち取った話
💡 この特性の生き残り策
刺激に弱く疲れやすいASDにとって、無駄な人間関係や見栄のための消費にエネルギーを奪われるのは命取りです。
「小欲知足(足るを知る)」の精神で生き方のハードルを下げ、不要なマウント合戦やラットレースから一刻も早く降りることが、一番の疲労回復になります。
5. 金銭感覚の欠如(妻に出会うまでの散財)
ASDの特性として、特定の趣味への没頭や衝動性から、身の丈に合わない買い物をしてしまうケースがあります。
💬 私の実体験:あったらあっただけ使ってしまう過去
私の場合、今の妻に出会うまでは本当にお金に対する感覚がありませんでした。
給料や手元にあるお金があれば、身の丈に合わないものを限界まで買ってしまうなど、溜めるどころか無計画に使い果たす日々を送っていました。
💡 この特性の生き残り策
金銭管理が苦手な人ほど、「自分で自分のお金を管理する」のをやめ、強制的に資産が残る仕組み(自動積立NISA)や、万が一の時の防具(FPの知識)を身につけておく必要があります。
妻の存在やFPの知識という「構造(フレーム)」で自分を縛るようになってから、ようやく金銭的な破綻から脱出することができました。
まとめ:「普通」を目指すのをやめたら、生きるのが楽になった
ASDと診断された5年前、私は「なぜ自分はみんなと同じように普通に働けないんだろう」と自分を責めてばかりいました。
しかし、自分の特性を正しく理解し、無理に「普通」を目指すのをやめてからは、人生の難易度がぐっと下がりました。
- 得意な「構造化・IT・自動化」に集中する
- 苦手な「空気読み・電話・マルチタスク」からは逃げる
- 倒れそうになったら「Bプラン」へ切り替える
自分の取扱説明書を作り、環境を自分に寄せていくことこそが、ASD当事者が現代社会を生き抜く最高の戦略です。
この記事が、同じように生きづらさを感じているあなたの「自分らしい生き残り方」のヒントになれば幸いです。